第10話「ベルフリー・ルール」

 バタリア砦に打撃を与えた事が原因か、サンドリア王国を包囲していた獣人連合軍は撤退した。
 包囲から三週間後に事だった。

 おそらくバタリア砦からの兵站が細くなったことで、サンドリア王国で兵士が復活するまでに押し切るのは無理と判断したのだろうと思う。

 そこから3か月ほど、サンドリア王国内で、情報の整理や体勢の立て直し、復活した兵員の人事などでバタバタと忙しくなる。
 ちょこパママ団も、お菓子屋さんだったはずなのに次々国の重要任務を投げつけられた。
 信用はありがたいが、ホント怖い。
 誰かが「あいつら力つけ過ぎて危険」とか言い出さないかヒヤヒヤだ。

 ようやく落ち着いてきたなっと思った矢先、ジュノ大公国より使者が来て、ジュノ大公国にて会談が設けられた。



 私がバタリア砦から引き揚げたあと、ジュノの大公様、カムラナートにベルフリーの事などを即報告している。
 報告を受けったジュノ側が3か月の間にどのような判断したかは知らないがゲームとは全然違った会談となったようだ。

 ジュノのル・ルデの庭にて行われた会談、通称ル・ルデ会談にてカムラナートはベルフリーの事について次のように説明した。

 ベルフリーの事は知っており、普通にジュノで生産できる。
 ベルフリーからベルフリーへ兵士をワープ輸送できる。
 ベルフリーから一定の範囲内は建造物が破壊できない。一定の範囲とはおよそ要塞一つ分。

 ベルフリーの範囲内に設置できるベルフリーは一つだけ。
 ベルフリーを設置した後に、別のベルフリーを設置しようとしても後発のベルフリーは発動しない。
 別のベルフリーを設置したい場合、既に設置されているベルフリーを破壊しないとならない。

 ゲームでは味方や敵が無限沸きしてゲームを楽しむ一つの要素でしかなかったベルフリーがこの世界でだいぶ違うようだ。



 ル・ルデ会談は次の流れで進行した。

 まず、サンドリア王国、バストゥーク共和国、ウィンダス連邦、ジュノ大公国にて軍の軍指揮系統を暫定的に統合した軍隊、アルタナ連合軍の結成について。
 ここまではゲーム通り。

 この後、通常ならば連合軍について細かい取り決めが発生するのだが、ゲームとは違った参加者の影響で、細かい話は後回しとなり、アルタナ連合軍の結成が決まった後に、すぐにベルフリーの説明が入り、とあるルールが提案された。

 ルールの提案先はアルタナ連合軍の三国、と、その相手国。
 そう、獣人連合軍の代表にだ。

 このル・ルデ会談、ゲームとは違い、なんと獣人連合軍が参加している。
 いったいどうやって呼びつけたかは知らないが、獣人連合軍にコンタクトをとり、会談への出席をさせたのだ。

 ルールとは、一つの拠点に一つ自軍のベルフリーを設置すること。
 そして戦いはそのベルフリーを破壊し合う陣取り合戦にすること。

 攻撃側は守備側のベルフリーを破壊して、攻撃側のベルフリーを設置するのを目的とする。
 ベルフリーの設置を以て、占領と判断される。

 守備側はベルフリーを破壊された時点でどんなに有利でも一度撤退する。

 撤退後、同拠点に攻撃する際は1日以上の間を置くこと。
 1日後、ベルフリーが設置されていなければ、自軍のベルフリーの設置が可能。
 その場合は設置した側の占領となる。

 人間側に復活できるクリスタルがあるように、獣人連合軍にも同じようなものがあるらしい。
 その復活できるクリスタルは、各国の首都に全部設置。
 各国の首都への攻撃は首都以外の全拠点の占領後、最後に攻撃する。

 ほかにも港湾がどうだとか非戦闘員がどうだとかの細かいルールがあったが、それは割愛。
 大きなルールは上記で「ベルフリー・ルール」と名付けられた。

 こんな条件、現時点で戦況有利な獣人連合軍が飲むとは思えなかったが、何か思うところがあったらしく、すんなりと締結した。

 このルールだと最後の首都を落とすまで、各軍、兵士がまったく死なない状態になる。
 死ぬ確率が減って少しホッとしたが、戦争が長引きそうな気もする。

 んー。なんとか、これを奇貨としてメゥリリー族を増やせないものかなぁ


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