第12話「AIの嗜み」 |
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株式会社「下衆な人々」。 世界的大人気フルダイブ型ゲーム「種族(仮)」の制作会社だ。 開発・運営スタッフのAは奇妙なユーザーデータを発見した。 このユーザーデータ、容量がかなり少ないのだ。 どう計算しても一人分のデータすらない。 調べてみると管理AIが少しおかしい事が分かった。 当ゲームは万単位のプレイヤーが自由に設定できる世界なので、管理者が人間では追い付かない。 個々のユーザーデータにそれぞれ管理AI作成され、全てをやってくれているのだ。 通常の管理AIは下記の手順でゲームを作成する。 ・ユーザーの希望の世界を登録、ユーザー希望の種族を登録。 ・ユーザー希望の世界条件の情報をインターネット検索。 ・必要情報を集め、誤情報を排除し、安全性を確認し、世界を生成。 ・ユーザー希望のキャラ条件に添ったアバターの作成。 ・ユーザーの意識をアバターに入れて、作成した世界へアバターを送る。 もっと細かいこともやっているが、大雑把にいうとこんな感じだ。 神視点で遊ぶ場合、アバターはユーザーが設定した神の位置へ、オリジナル種族と交流するならば街にチート能力者として送られる。 ところがおかしい方の管理AIは次のような状態だ。 ・ユーザーの希望の世界を登録、ユーザー希望の種族を登録。 ・ユーザー希望の世界条件の情報を ・必要情報を集め、誤情報を排除 ・ユーザー希望のキャラ条件に添ったアバターの作成。 ・ユーザー AI作成の際に、なにかあったのだろうか? とりあえず、このAIの手順は「不可能」なので問題は無いとは思う。 まず、ユーザー希望の世界を検索とあるが「世界を検索」というのは出来ないだろう。 なにから検索するというのだ。 検索できないから必要情報も誤情報も無い。 そしてユーザーの意識ならともかく、ユーザーをアバターに入れるのは不可能だ。 アバターは情報であり、プログラム。 ユーザーは生身の人間なのだから、入れる入れないの概念が違う。 なにかしらが原因でゲームが遊べなかった際、エラーメッセージが出る。 「エラーYxxxxxx ゲームの作成または登録が失敗しました。トップ画面から「最初からやり直す」をお選びください」 フルダイブ型のゲームは、ちょっとでも不具合が出ると即座に失敗を宣言し、完璧な状態になるまで再作成を要求する。 どのメーカーでもそうだから、フルダイブ型ゲーム好きのプレイヤーは再作成には慣れっこになっている。 予想するに、このユーザーは回線か何かの影響で管理AIがエラーで作成され、登録失敗。 やり直して別のユーザーデータでゲームプレイをしているに違いない。 ユーザーが万単位で居て、毎日、ユーザー登録やユーザーデータ作成があり、なにかしらのエラーやらがあるのだから、プレイヤーを特定することは不可能。 このユーザーデータはサンプルで次の不具合会議の一つに入れておこう。 今月の不具合報告は24個。 まあ、少ない方か。 登録失敗からの最初からやり直すは1000件超えているな。 管理AIのエラーコピーは初めてだが。 数年後、SNSにて「ゲームの中から投稿しています」という記事が現れた。 フルダイブ型ゲーム「種族(仮)」をプレイしており、オリジナル種族は「メゥリリー族」とのこと。 しかし検索してもその種族は現れないので、虚言だろうと判断された。 文面的に悪意は見られず、メーカー批判でも無いので、なにが目的で投稿されたか分からない。 バズると思って投稿したら、滑ったというものだろうか。 初回投稿が万バズしたものの、虚言と判断された後は見る人は居なくなっている。 メゥリリー族の設定は正直流行らなそうだけど、個人的には好きな設定なので、私は投稿を追いかけて、(妄想話の)続きを楽しみしておりますと応援メッセージを入れている。 是非ゲームをプレイして欲しかった。 |
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