第8話「バタリア砦」

 これから私はFINAL FANTASY XIでは一切聞いたことのない「バタリア砦」にちょこパママ団のメンバーで攻め込む事になっている。

 どうしてこうなったかというと、先日にラテーヌで行われたサンドリア王国軍と獣人連合軍との間で行われた戦い、通称ラテーヌ会戦にて多数の犠牲を出して大敗したサンドリア王国軍は王都まで撤退。
 今現在、王都は獣人連合軍の中のオーク軍によって包囲されている。

 私がジャグナー要塞に辿り着く頃には要塞は陥落し、要塞を攻略していた獣人連合軍がラテーヌに布陣していた獣人連合軍と合流してサンドリア王国軍とがっぷり四つの戦いになってしまった。
 そして上記した通り、大敗し、王都で籠城中といった形だ。

 王都を、そして王都にあるクリスタルを一か月死守すれば、死んだ兵員が復活する。

 ラヴォール侯国のクリスタルもサンドリアにあるので、ラヴォール侯国軍もサンドリアの王都で復活だ。
 兵站さえ整えておけば、包囲軍を追い返せるだろう。

 なんとか短期で終わらせたい獣人連合軍の攻撃は非常に苛烈だが、サンドリア王国軍はとにかく一か月との事で、守りにリソースを振っているので戦線は維持されている。

 この守りにリソースを振っている状態は、傭兵たちが動きづらくもなっていた。
 通常の時は現場の各指揮官に持ち場を振って、大きな指標を指示し、後は現場判断で動く感じだが、今回の守りは綿密に動きの指示が飛んでいた。
 こうなってくると訓練された騎士団だけで動いた方が守りやすく、傭兵はノイズになってしまう。

 よって傭兵たちは騎士団が十全に動けるよう、各種雑用にまわっていた。

 ちょこパママ団も非戦闘員、戦闘員、問わず兵站を整えるクエストに奔走していた。
 そんな折、ちょこパママ団の諜報系特殊部隊「シュガースポット」が包囲軍の兵士や物資の補充、負傷兵の収容先などが、バタリア丘陵にある「バタリア砦」だという情報を拾ってきた。

 ゲームでは一切、聞いたことない施設名だ。

 この事をサンドリア王国軍にお伝えすると、砦になんらかのアクションをすることが決まった。
 後方にちょっかいを出すことで獣人連合軍の勢いを殺ぎ、一日でも多く王都の守りを延命させるのだ。

 騎士団は引き続き守備なので、行ける傭兵へのクエストととなり、私はちょこパママ団の戦闘系特殊部隊「スイートスポット」を率いて行くことにした。



 バタリア砦はなんというか、円柱状のいかにも砦という、スーパーマリ……アクションゲームで出てきそうな形をしていた。
 塔の周りで獣人がワラワラと何かをしている。
 まあ、物資の運搬や負傷兵の収容などだろう。

 青空が広がり、ひんやりとした空気に、心地よい風。
 木々や花や草の匂いが薄く湿った空気に乗って身体を撫でて行く。
 ほんっと、状況が違ったらピクニックをしたい最高のロケーションだ。

 そんな中、これから血飛沫が上がるようなことをしに行くのだから業が深い。

 まあ、さすがに軍隊相手に突撃とかはしない。
 黒魔の私が大きな魔法をバコバコ打ち込んで、相手が体勢を整えて反撃してきたら、ちょこパママ団の戦闘系特殊部隊「スイートスポット」に護衛してもらいつつ離脱する腹積もりだ。

 ただ、建物の規模や広域スキャン魔法の反応を見る限り、そこまで数は多くない。
 あ、広域スキャン魔法というのはゲームに出てくる広域スキャンと同じようなもの。
 ゲームでは一定範囲に居る生物を地図上に表示するものだったが、広域スキャン魔法は地図上ではなく目線の先に生物がここにいるという反応を表示してくれる。
 とても便利だが、消費MPがかなりエグイ。これを使うくらいなら攻撃か防御の魔法に使った方がいい。
 私に無限のMPがあるから出来る芸当だというだけだ。

 そう、私には無限のMPがある。それを以て範囲魔法を連打すれば、ワンチャン壊滅させることも可能かなっと思った。

「後方攪乱をするのはいいが、別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?」

 なんつってね。


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